忘れられない映画【グレイストーク、ターザンの伝説】
1983年に公開された映画
「グレイストーク、類人猿の王者、ターザンの伝説」
当事高校生だった私は
映画館で見ておりました
恥ずかしながら
この映画を見るまで
ターザンは小説があるということを知らずにいた私
原作小説に忠実に作られた映画というのに興味を持って
観に行きました
これがスゴ~くよかった
それまでのターザン映画って
筋骨隆々の肉体美の俳優がやってて
セクシー美女のジェーンを救う英雄
みたいな内容の
冒険活劇
娯楽映画としてはいいだろうけど
正直面白いと思ったことはなかった
でも
この映画は全然違った
ターザン役のクリストファー・ランバートは
筋骨隆々というタイプではないが
野性味溢れる風貌は
まさにハマり役
ジェーンもそれまでのようなセクシー美女ではなく
とても優しそうな女性
文明社会にやってきたジョンを優しく見守っている
ターザンの本名はジョン・チャールズ・クレイトン
ジョンの両親はアフリカ沖で海難事故にあい
ジャングルに打ち上げられる
母親はそこでジョンを産み落とすが
しばらくするとジョンを残し
両親共に死んでしまう
ジョンは子供を亡くしたばかりの雌猿に拾われ育てられる
やがて成長したジョンは類人猿たちの王者となる
そんな折
博物館に展示する動物標本を作るために探検隊がやってくるが
原住民に襲われ
ほぼ全滅
偶然生き残ったひとりはジョンに助けられ
ジョンがグレイストーク伯爵の孫であることに気付き
スコットランドに連れ帰る
文明社会に次第に馴染んでいくジョンだが
最後には生まれ育ったジャングルに帰る
という
ターザンの成長を描いた作品
最近DVDを購入した
高校生の頃は普通に感動してみていたが
この年になってから観ると
かなり切なさが残る映画だ
印象に残ったシーンがいくつかある
まず類人猿が非常に表情豊かに描かれている
人間より人間らしいと思ったぐらいだ
少年時代
育ての親である母猿を原住民に殺され
その原住民を素手でひねり殺すシーン
グレイストーク伯爵の邸の中で
かつてジャングルでしていたように
転げ回って戯れるジョン
人間であることを受け入れ
文明社会に馴染んではいくものの
窮屈さを感じているんだろうな~と思わせるシーンだ
そして
祖父である伯爵が亡くなり
悲しみに沈むジョンを慰めるために
かつて自分に文明社会のことを教え
伯爵のもとに連れてきてくれた探検隊のひとりがやってくる
自分の家族はいなくなってしまったと悲しむジョンに
自分も側にいるからと慰める探検隊員
その探検隊員に
「飼育係としてか?」と鋭い瞳で吐き捨てるジョン
ジャングルにも戻れず
人間にもなりきれないジョン
ありのままの自分を受け入れ、愛してくれた祖父を失い
物凄い孤独感を感じていたに違いない
それでも
同じようにありのままの自分を愛してくれるジェーンに支えられ前に進もうとするジョン
そんなジョンにとどめを刺すかのような事件が起こる
博物館の開館式に出席したジョン
ジャングルで育ったジョンには
動物の標本は痛々しいものでしかなかった
博物館を歩くうちに
ジョンは標本を作るための部屋に迷いこむ
その部屋には1頭の猿が捕らわれていた
それは
ジャングルで自分を育ててくれた父親だった
ジョンは父猿を檻からだして逃がすが
やってきた警官に父猿を射殺されてしまう
ジョンの悲しみようはそれまでの比ではなく
ついにジャングルに帰ることを決意する
育ての親を二人とも人間に殺されたジョンにとっては
人間として暮らすことを拒否するのは当然の結果だろう
おそらく不信感、孤独感は頂点に達していたに違いない
伯爵としてこの家を守れという声には耳も貸さない
ジョンにとっては地位も名誉も財産も
なんの意味もない
斯くしてジョンは生まれ故郷のジャングルに帰る
ジャングルで生き生きと動き回るジョンを見て
別れを悲しみながらも微笑みなから見守るジェーンと探検隊員の姿が印象的なラスト
何度観てもウルウルします