子供の心は柔らかい

私が子供の頃

強烈な印象を残した先生が二人いた

ひとりは幼稚園の先生

女性の先生でした

卒園式が近づいた頃

文集だかアルバムだか覚えていないが

それを飾る表紙を、園児たちが画用紙に自分で描くことになった

園児たちはそれぞれ

花や鳥や魚や動物

自分の好きなもので画用紙を埋めた

出来上がったら先生に見せにいく

描きあがった画用紙を持って、先生に見せにいったときのことだった

私の前に並んでいた子が

先生に絵を差し出したとき

先生が大きな声で怒鳴った

「なんなのこのお花は!」

その子はお花の絵を描いていたんですが

先生はあるお花を指差して

「他のはキレイに描けてるのに、なんでこんなお花を描いたの?ダメよこんなの」

そう言って、勝手にそのお花を描きなおしてしまった

その子はビックリして固まってしまい

声もでないでいる

私はそれを見て

先生ヒドイ

と、子供心に思った

先生にとっては“そんな花”でも

その子はきっとかわいいと思って描いたのだ

それを頭ごなしにダメだと決めつけ

しかも勝手になおしてしまうとは

その子はきっと傷ついたんじゃないかと思う

子供は想像力豊かだ

例えば

リンゴをピンクに塗ったり

人間の髪を緑に塗ったりということもある

この先生はそういうことも認めない人だった

確かにリンゴは赤だし

緑の髪の人間などいない

しかし、そんなこと子供はちゃんとわかっている

ただ想像の世界で遊んでいるだけだ

そういうことを理解しようともせず

頭ごなしに押さえつけるこの先生は

子供を教える資格があったのだろうか、と

今大人になってから思うことがある

もうひとりは

小学校のときの校長先生

校長が私の通う小学校に赴任してきたとき

朝礼のときに挨拶するため

壇上に立った

そのとき校長が言ったことは

「皆さん校長室に遊びにきてください。なんでもいいです。話したいことがあったらなんでも話してください。皆さんをいつでも待っています」

この挨拶を聞いて

全校生徒が「えー⁉」と驚いた

今までそんなことを言った校長はいなかったから

まだ屈託のない低学年の生徒たちは臆せず校長室を訪ねた

それを見て

高学年の生徒たちも

最初はおずおずと訪れ

だんだん校長と親しんでいった

この校長

ホントに気さくな人だった

美術の時間には進んでモデルを引き受け、生徒と一緒にマラソン大会に参加したりしていたし

生徒が悩みを打ち明けたりすれば

進んで相談にのった

休み時間にやってくる生徒と雑談を交わし

何か問題があればすぐに対処してくれた

結果

教師も生徒も穏やかな雰囲気の中で学校生活を送ることができたし

この校長が赴任してから学力もあがったと聞いた

卒業式のときは卒業証書を渡すときに、ひとりひとりとガッチリ握手をして言葉をかけてくれた

私は卒業式のときに泣いたのは

このときだけだった

現代では

こんな青春ドラマみたいな教師はまずいないだろうと思うが

この校長からは生徒のことを理解しようという気持ちが伝わってきた

今の教育現場のことはわからないが

いじめで自殺しただの教師の虐待だの

荒れているのかな?

そういう学校ばかりというわけではないだろうが

人格形成途中の子供には

厳しい時代なのかと思うと

なんとも複雑だ